携帯の時間を見て、ぎゅっと唇を噛んだ。

いつもと同じ時間。つまり…昨日と同じ時間。


校門を通り抜けて、左右を見渡すと遠くの方に人影が微かに見えてその方向に向かって走った。


7人くらいの集団。
皆傘を差してよく見えないけれど…それでも…修弥だ。


透明のビニール傘で、真ん中を歩く修弥の姿を確認すると、少し走る速度を緩めて影に隠れながら歩いた。

このままみんなと帰れば――…


見つからないように、気づかれないように、こそこそとあとを付ける。

帰れ、このまま駅に向かって帰れ。

そう何度も心の中で修弥に呼びかけるものの、予感はしていたけれど…修弥たちは駅前の店に入る。


すぐ傍に通る、大きな道が私を責めるようにも感じる。


――…せめて違う場所なら良いのに。


事故のあった、こんな場所でなく、事故のあったこの道の近くではなく、遠く離れた場所であればまだ安心できたのに…


傘で道路の方の視界を隠して物陰にしゃがみ込んだ。


早く帰って。
お願いだから。

何事もなく、帰って。


なぜだか溢れそうになる涙が、余計に自分を追い詰める。