誰もいなくなった教室内には、ただ雨の音が鳴り響いていた。

さらさらと言えば聞こえは良いけれど、一人で聞いていると時間に置いていかれてるみたいだ。


あながち間違いでもないけれど――…

現に今、今日という日から抜け出せてない気がするし…

携帯電話を片手にぎゅっと握りしめながら、窓の外を眺めていた。

私の席から見える、校門の方をただ、ずっと。

「そろそろ、かな――…」

携帯電話を軽く開けて時間を確認すると、ホームルームが終わってから一時間半くらいは過ぎた。

今のところ、まだ修弥は校門を抜けてないから教室で騒いでいるんだろう…

「早く帰ればいいのに…」

もしくはもっともっと遅くになればいいのかもしれない。そしたら取りあえずは昨日とは違う今日になるんじゃないだろうか。


私が、先に帰ることでも何かが変わるのかもしれないとは思うけど――…

さすがにそれは、怖い。


「――…っ!」

がたっと、席を立って鞄を乱暴に掴んで教室から慌てて出た。

帰った。
さすがに人影なんか小さな米粒暗い荷か見えないけど――…あれは多分修弥だった。


そう思って、見失う前に行かないとと、階段を駆け下りる。


時間は――…18時前。