「なんだよ?体調悪いのか?」
「や、別に――…大丈夫!大丈夫だから」
私の顔をのぞき込もうとする修弥に、必死で笑顔を見せた。今私が出来る限りの精一杯の笑顔。
「でも…なんか具合悪そうだぞ?
まーいいや。じゃあ今日はいいや。ゆっくり休めば?」
その言葉に少しほっと胸をなで下ろした瞬間に、修弥がじっと私を見る。
「な、に?」
「別に」
そう言って、少し不機嫌そうにしながら私に背を向けて、入ってきたドアの方に向かい、今度は出て行った。
これで…なにか変わるだろうか…
出かけるはずだった今日。そのまま――私と一緒にあの場所に行かず、そのまま帰れば、もしかしたら…
「実結?どしたの?」
佐喜子呟いた声に、隣を見ると修弥以上に不思議そうな、何とも言えない表情で私を見つめる。
「何が?」
「いや、修弥君の誘いを断るのも珍しいし、そもそも用事なんてないんじゃないの?」
そうなんだけど…ね。
そうせざる得ないんだよ。
言っても分からないだろうけれど…
「噂のこと――…気にしてるの?」