「はーい、やめー」
先生がそう声を上げて、一気に教室が騒がしくなる中、一人動けないで思いだそうとしたけれど
それでも何も思い出せない。
なんだったのか。
どこだったのか。
「実結?」
未だ考え込む私に、後ろの友人が肩を叩き解答用紙を差し出した。
「あ、ごめ」
思い出せないものを悩んでも仕方がない…のかな。
自分の解答用紙をその束に重ねて、前の席に回しながらそれでも解答用紙を見つめた。
仕方がないのだと、そんな物を思い出したから何だというのか。
わかっているのに、もう少しで思い出せそうな…そんな感覚が拭えなくて授業中もずっと頭をフル回転させた。
それでも——出てくる物は何もないのだけれど。