店内を軽く見回すと、満員だろうと思われる程の人が溢れてる。
席を探さないと――座れるのか分からないから…
だけど脚が動かない。
動いてはいけないような気がする。
だって、誰かにぶつかるんじゃない?ぶつかって――…そのまま修弥が戻ってきて、そのまま店を出て――…
修弥の倒れる姿がまた目の前に浮かんでぎゅっと目をつむった。
夢だってば!
夢のことを、何気にしてるの!?
――ドン
「わ!」
その瞬間、後ろから人がぶつかってきて体がぐらりとよろめいた。
「わ、大丈夫!?」
体になぜだか力が入らず、倒れそうになる私を後ろの人が慌てて掴んでくれてなんとか体制を持ち直した。
「あ、すいません――」
そういって見上げた顔は、普通の男の子。
どっかで見た?
だけどよく分からない。
夢の人はこんな顔だっただろうか?夢の人の顔なんて覚えているはずない。
「あの、大丈夫?」
「え、あ、はい」
じっと顔を見つめてしまったのを、声を掛けられたことで我に返った。