「何、見るの?」

「あの、アクション映画、確か先週からだっただろ?」

多分その映画だと思ってた。

その予想が外れる事なんて滅多にないしね。

パン、と傘を広げて雨の中一歩を踏み出す。

雨か――…そう思って濡れながら歩いた。

人混みの中は苦手だし、雨の日は特に嫌だ。晴れている方がいいのに。それか私が外出しない日だけ雨が降ればいいのに。


途中にちょこちょこと修弥と会話をするけれど、それは別に雨でも晴れでも変わらない。

今日はどうしたとか何があったとかそんな話。修弥の友達の話なんか聞いても特に私と仲が良いわけでもないんだから分からないっていうのに。


雨が嫌すぎて、今日はなお一層いつもよりも会話が頭に入らない気がする。

――そんなこともないか。いつもだ。


「お腹空いたな」

「先に食べる?」

修弥がお腹をさすりながら言ったとき、丁度目の前に見えるファーストフードを指さした私の意見に修弥が「そうすっか」そう乗ってきた。


「あ、ちょっと待ってて」

「…え?」

店に入るなり私を置いて店内に向かって歩く修弥。

――トイレ?

…前も、こんなことあったっけ?あったと思う。ついこの前。