「最悪」

英語のテストが終わったあと、私は机の上にべったりとひっついた。

今までで一番あり得ないくらいの点数だろう。

あれが――今日の夢が予知夢だとしても何一つ役に立ちやしない。何も覚えてないんだから。

「忘れてたあんたが悪いんでしょ」

わかってるよ、そんなこと。

私の前の席に座ってすました顔して雑誌を読む佐喜子を睨み付けた。

「なによー私勉強してたもん」

あ、そうですか。
私はバカなので勉強してないんです。ごめんなさいね。

「実結も反省してるなら見直しでもすれば?」

「何の問題が出たかなんて覚えてないよ」

分からなさすぎて何も頭に入らなかった。

もともと英語は苦手だし。それだけが理由じゃないけどさ。

そういうと佐喜子は呆れたように私の机に出しっぱなしになっていた英語の教科書を取り上げて

「ほら、ここ」

とあるページを開いて私に見せてくる。

…終わったのに勉強なんて嫌だ。

「ここの単語出て来たよ?この動詞とか使い方とか」

「へー」

そんなこともわからない。
私のやる気のない返事に佐喜子がむっとするので、しぶしぶ体を起こして本を眺めた。

眺めたところで特に頭には入ってこないけれど。