「何泣いてんだよ。大丈夫だから…」
明らかに大丈夫じゃない癖に。
だけど、修弥は私を見て少し痛みに顔をゆがめるも、笑った。
いつもと変わらない笑顔を向ける。
何でこんなときにも笑えるの?…何でそんなにも優しいの?
「泣くな、大丈夫だから、笑え」
こんな状態で笑えるはずないじゃない。
そう思いながらも…修弥の笑顔を見つめ、手を強く握って――…
笑った。
泣きながら。
必死で、涙を落としながらもただ笑った。
泣きながら笑って握った修弥の手。
修弥は同じ様に笑って、強く強く、握ってくれた。
冷たい雨は泣くのをやめて私たちを見守るように光を注ぐ。