――何でだろう。

ごめん、と謝るのはそれでも納得いかなくて、そう思っている間に「席無いな、行こう」と出口に向かって歩き始めた。

ぺこりとその男の子にお辞儀をして、少し歩くのが速い修弥を駆け足で追いかける。


「ねえ、何で、怒ってるの?」

隣に並んだと同時に修弥の顔を見上げて聞く。

「――…お前が気をつけないからだよ」


私を見ないで前を見たまま答える修弥に、少しだけむっと感じてしまう。


…気をつけないって…確かにちょっとはぼけっとしていたけど。それでもぶつかってきたのは相手なのに…


まだむすっとしている修弥の服を軽くつまんで、速く歩く修弥の速度を落とした。


「ごめん、だから――…怒らないで、楽しもうよ」

せっかくの――…いや、せっかく一緒にいるのに。怒ってるのは…嫌だよ。

私の言葉に修弥は私を見て、はあっと大きなため息をつく。

「や、俺も、わるい」

何が?そう聞こうとすると、修弥は服を掴んだ私の手を離して、そしてぎゅっと握ってくれる。

「ちょっと――まあ…やっぱり、何があるかわかんないし」

何が…?