「ちょっとトイレ行ってくる」

ファーストフードに入ると修弥はそのままトイレに駆け込んで、一人残された私はあたりを見渡しながら壁側に歩み寄る。

出来るだけ誰ともぶつからないように。

――修弥はなんで、あんな風に怒ったんだろう。

なんで?そう思うだけで理由なんて考えたこともなかった。怒られていることに対しての不満しかなかった…


そう考えているとき、――ドン!と人が私の正面から誰かに押されたのかぶつかってきた。

「わ…っ」

「あ、すいません!」

男の子は笑う友達を一瞬睨み付けて、スカートに傘が当たって濡れたのを見て慌ててハンカチを取り出す。

「あ、いいです、大丈夫」

「や、でも…」

記憶にあるやりとりをしていると、隣に人がやってくるのを感じて振り向いた。

少し、不機嫌そうな修弥。

「なにしてんの?」

「あ、すいません!俺がぶつかっちゃって」

修弥にも礼儀正しく謝る男の子を修弥は少し見て「お前も気をつけろよ」と私を怒る。