「思い出したか?

あの時、お前どういう反応したか覚えてるか?」


雑誌の切り抜きらしき紙くずが何となく気になって開けると、そこには女性の裸の写真にふざけて書いたんだろう。

男子がサインペンで『最高』とかまあ、いろんな落書きがあったんだ。


「あれみて、お前の周りの女子はすっげー嫌そうな顔してんのに、お前だけ…


アレ見てすっげー笑ったんだ。


でっけえ口開けて」


――思い出した。
そんなことあったような気がする。

だけどそれが修弥だったかどうかは、今でもわからない。

クラス替えしてばっかりで、誰が誰だか分からないのに。



「よく、覚えてるね」

「まーな。なんせ一目惚れしたからな」


さらっと返ってきた言葉に、思わず脚を止めてしまった。