「修弥は――いつも出会ったときの私のこと言うね。そんなに印象的だったっけ?」
出来るだけ明るい声で話題を変えた。
「俺にとっては――かな」
「ふーん」
「中学二年か、お前と同じクラスになって、たまたまクラスの奴と遊んでるときにお前にゴミが当たったんだ」
修弥の言葉に私は自分の記憶をたどる。
クラス替えがあって、とは言っても中学の中でのクラス替えだし特に緊張したとかそんな記憶はない普通の日だったような気がする。
ゴミが当たったかどうかも――そんなのいつも男子は教室内で遊び回ってたし珍しくないじゃない。
「なんかあったっけ?」
一生懸命に思い出を探るけれど見当たらなくて首を傾げた。
「そのゴミが、なんつーか…ねえ」
言葉を濁す修弥に「あ」と声を出した。
「思い出した」
さすがにあの出来事は覚えてる。
教室でクラスメイトとしゃべってるとき。急に私の頭に紙くずが当たったんだ。
教室内で大声で叫びながら野球もどきをする男子の、ボール代わりの紙を丸めたものが。