「修弥、手、繋いでいい?」
校門を出たところで、修弥を傘のすき間から覗き込みながら言った。
さすがに、真っ直ぐに見つめながら言うには恥ずかしい。
修弥の表情を盗み見るように様子をうかがうと、私を見てみるみる顔を赤くさせた。
――こんなに、顔に何でも出る人だったっけ?
「ふっ」
「なに、わらってんだよ」
「だって…」
余りにも可愛くて、笑いを堪えることが出来ずに声を出して笑う私に、修弥はもっと顔を赤くさせながら私を睨む。
「わらってんなよ」
もう見るなとでも言いたげに私の頭を軽く叩く。
それすら可愛いな、もう。
――今まで見れなかったのが残念なほどに。
「ん」
笑いが未だ止まらない私に、修弥はためらいがちに手を差し出した。
「何お前まで照れてるんだよ。自分で言っといて」
思わず止まってその手を見つめてしまった私に「俺まで恥ずかしいだろ」と付け足して言う。