遠くでチャイムの音が鳴り響き、修弥は「じゃいくか」と呟きながら腰を上げた。
「実結?」
腰を上げない私を見下ろす修弥に、精一杯の笑顔を向ける。
一生懸命に、いつも以上に笑えてるように。
「先行ってて。ちょっと用事あるから」
「?そうか?俺遅れるから行くけど良いのか?」
「うん、すぐだから、大丈夫」
少し、不思議そうな顔はしていたけれど修弥はそれ以上何も聞かずに階段を下りた。
カンカンと鳴り響く修弥の足跡。
一歩一歩離れていく度に、こぼれ落ちる涙。
「じゃー放課後」
「わかった」
来たときに入ってきた窓際で脚を止めたのか、足音が止まって大きな声で別れを言う修弥に負けないように返事をした。