「どこで食う?」

「んー雨だしねえ…」

傍まで来て、周りを見渡しながら修弥が「んー」と声を出して考える。

「人混みもめんどくせーしなあ。体育館行くか」

何で体育館?そう思いながら言うだけ行って先に歩き始める修弥に聞くことができずそのまま後をついていく。



校舎を一階まで下りて、渡り廊下を渡った先にある体育館。

修弥は慣れた手つきで体育館の横にある窓からひょいっと昇って中に入った。

「ん」

私の腰よりも高い位置にある窓から、修弥はすっと手を差し出す。


「ありがと…」

差し出された手を握るのだけなのに、やたら緊張してしまい修弥から視線を外しながらぎゅっと握り返す。


久々に触れる修弥の手は、私の知っている修弥の手よりも大きく感じた。


「ここ」

体育館の隅っこにある階段を上って、二階の応援席に腰を下ろす。

「穴場だろ?」

きょろきょろと見渡す私に、修弥はにやっと笑いパンの袋を開けながら言った。

背中には大きな窓が開いていて空が私たちを包み込む。