鞄の中からお弁当箱を取りだして、席を立つ。

チャイムが鳴ってすぐに。

「あれ?どっかいくの?」

私の傍でご飯を食べようと思っていたのか、佐喜子がお弁当を持って私の席に向かってくる途中で足を止めて私に声を掛ける。


「ごめん、今日は修弥と約束したんだ」

「へー珍しい。行ってらっしゃい」

少し驚きつつも、嬉しそうな顔をして手を振る佐喜子に私が恥ずかしくなった。


修弥の所に向かう足取りが軽い。

こんなにも、軽い気分で修弥に会うのは懐かしい感覚。


不安に思っていた、重たい重たい物がするすると落ちていったんだろうか。

まだ、空からの雨を見ると胸が痛いけれど。


それ以上に、今は目の前にあるものを受け止めたい。


修弥のクラスに向かう途中で購買からパンを買ってきたのか、二つ三つのパンを持ち、コーラを飲みながら私の方に向かってくる修弥の姿が見えて脚を止めた。