「じゃなくて…」
そう訂正しかけたその時。
「――あれ?知ってるの?」
驚いた声が聞こえて、私の不自然な動きを繰り返していた視線が、止まった。
「え?」
「え?あれ?墓穴掘っちゃった!?あ、ごめん…!!」
私が顔を上げて見つめると、トモカさんが一気に焦った表情になる。
トモカさんは、知ってたの?
ああ、でも知っていてもおかしくないのか。もし、修弥と関係があったら…おかしいことじゃない。
「あー…ごめん…修弥には、内緒にしててね」
何を?
「修弥バイトしてるんだ…実結ちゃんには内緒で、て言われてたんだけど…ね。
ばらしちゃった」
もういいか、と呟いて驚く私を見ながらトモカさんは笑う。
「私に、内緒で…?」
こそこそと?
別にバイトくらいいえば良いのに。
反対なんてするはずないのに。何も言われないで何かしてて連絡がない方が、よっぽど…
「ここまで言っちゃったらもういいかー…私からっていうのは内緒ね!怒られるから」
私が色々聞きたい顔をしているのに気づいたのか、少し戸惑いながら話を続けるトモカさんに、私は黙って頷いた。