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教室に向かう階段を途中で止めて、佐喜子に手を振って修弥のクラスに向かう。
騒がしい廊下を抜けて、修弥のクラスの開けっ放しの窓から様子をうかがった。
――まだ、か。
もう少し待ってたら来るかな。
ギリギリに来るかもしれないから、話する時間がないかもしれない。
なかったら、昼休みに時間を取って貰おうかな…
そんなことを考えながら、うろうろと教室の前を歩き修弥を待った。
「実結、ちゃん?」
「――…」
教室内から呼ばれた声に振り返ると、私の視線の先にはトモカさんが首をかしげて傍に寄ってきていた。
「あ、どう、も」
さすがにこの子と面と向かって話すのは、苦手だ…
色んなことを考えてしまって…私が修弥と一緒にいることをどう思われているのか…それが怖くて。
後ろめたい気分になるなんて、仮にも彼女だって言うのに、おかしいのは分かっているけれど。
「修弥、くんを待ってるの?」
「あーはい…」
何で敬語なんだ。と自分に突っ込みたくなるほどよそよそしい自分が余計に嫌になる。