まだ現実味のない体を確かめるように、手を何度も握ったり開いたりして今、ここにいる自分を感じた。
大丈夫。まだ、繰り返せるんだ。
だけど――…もう終わりが近いんじゃないかという思いが頭をよぎった。
その終わりがどうなるものなのか、私にはわからない。
望む物は一つだけだけれど――…それが――…
「実結!」
動けないままの私に、母がいつものように声を掛けた。
「はぁい」
返事をするほどの元気はなかったけれど、母の声に出来るだけいつも通りに返事をして少し目をつむった。
――よし
自分に気合いを入れて立ち上がって、きゅっと、唇を噛んだ。
今日はちゃんとカレーを食べよう。出来るだけ笑って。いつものように。いつも以上に。
取りあえずは、それからだ。