「おい…男の子が轢かれたぞ!!」


バイトって何?

何で、バイト?
そんなの知らない。


修弥の、もう姿の見えない修弥の走っていってしまった方向を見つめながら立っていた。


涙はもう出ない。

ねえ、修弥なんて言ったの?聞き間違い?

ふらふらと修弥の方向に歩く。

周りにいた人が一箇所に集まっていく、その中心に向かって。


傘を途中でばさっと投げ出し雨を浴びながら歩いた。



「修弥?」

「君、知り合い?」

人の中に割り込み、何度も名前を呟きながら近づく。

傍にいた人たちが私に気づいて道を空けてくれて、その先に横たわる修弥にそっと、触れた。