特に珍しい雨でもないのにあんなにも優しい雨だと感じるなんて。
あれからだって何度も降っているだろうに、何で今、思い出すんだろう。
――あんな、青空のような修弥は、青空の下で笑う修弥はもう、見れないのかな。
あんな風に私に笑いかけることはなくて、その代わりにあの子に――?
あんなにも楽しかったはずの時間は、何で無くなってしまったんだろう。
思い出す過去は、もう無くなってしまった過去みたいだ。
修弥はいつから、私のことを過去にして、あの女の子と仲良くなったんだろう。
過去、その言葉が悲しい。
私が過去になったことも、思い出が過去になってしまったことも。