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あれは、付き合って間もない頃だっただろうか。
お金が無くて、二人でデートをしたのは500円で入れる動物園だった。
「…あ」
「…え?」
待ち合わせに行くと、二人して水色のシャツに白いパンツ。まるでペアルックみたいで。
だってあの日はとても良く晴れていたから。水色が似合うと思った。
前の日に色んな服を部屋で何度も着ては脱いで決めたのに。
「――…あー晴れだしなあ!」
照れてしまって何も言えなくなった私に、修弥が顔を真っ赤にしてそう言ったその顔が面白くて笑ったんだ。
その一言で、もーいっか、と気分が一気に晴れた。
晴れだし、楽しまなきゃもったいないって。
手を繋いで、一緒に中を歩いた。色んな動物を見て、それのどれもが楽しかった。
修弥と一緒にいたから。
汗ばむ陽気の中で、汗を気にすることもなくずっと繋いだ手。
真っ青な空の下、寝転んで話をした。
今なら臭いとか汚いとか思うだろうけれどそんなのちっとも考えてなかった。