「行くか、じゃーなー」
一旦自分の席に戻って、鞄を提げて私の所に戻って来た修弥が扉を大きく開けた。
「いいの…?ホントに、待ってるから」
「いーっていーって!実結ちゃん!そいつ平気なフリしてすっげ喜んでるから!」
私の言葉に修弥が返事をする前に教室にいる男の子が笑いながら叫んだ。
「うっせーよ!喜んでねえって」
振り返って、男の子たちの声以上の大きな声で叫ぶ。
――喜んでるって、何で?
修弥を見上げると、教室の方を向いていてどんな顔をしているのか分からない。
そのままじっと修弥を見つめると、振り返った修弥の視線とぶつかった。
「――なんだよ」
「…嬉しいの?」
そんな風には見えないし、そもそも嬉しいのなら何で嬉しいの。
私の言葉に修弥は少し言葉を詰まらせて、私の頭に手をのせてぐいっと無理矢理廊下側へと視線を動かした。
「うっせーよ」
――何が?
そのまますたすたと先を歩き始める修弥に、首をかしげながらついて歩く。