階段を下りる。
一歩一歩確実に。
自分で修弥の所に向かうのは、久しぶりだ。
修弥のクラスの階につくと、大きな笑い声が響いた。その中に修弥の声も混ざっていることはすぐに分かる。
――落ち着け。
胸のあたりの服を握りしめて、高鳴る胸を押さえ込んだ。
何で修弥のクラスに行くくらいでこんなにも緊張するのか。
笑い声が鳴り止まない教室の前に立ち、深く深呼吸をした。
扉に軽く手を当てて、音が鳴らない程度にゆっくりと引く。
別に音が鳴っても良いのだけれど…みんなの視線が一気に私に集中して、余計緊張してしまいそう。
覗き込む様に、教室の中の様子をうかがうと、窓際に10人程度が集まって笑っている。
――声、かけづらい。
ああ、そうだ。
こういうのも嫌だったんだ。だから修弥のクラスには来たくない。
だから修弥が来るまで私は自分の教室でずっと待ち始めた。