「じゃー授業終わったら来るわ」

もう既に授業が始まってしまったからか、靴箱のあたりには誰もいなくてそのまま修弥は自分の教室に向かって歩いて行ってしまった。


断るタイミングを失ったまま。



ふうっと小さなため息が漏れて、少し体が楽になる。

一緒にいる間、ただ彼氏と一緒に学校に来るだけでこんなにも力まないといけないのか。


雨のせいで少し濡れたスカートも、全てが涙で濡れてしまったような気分になりながら階段を上がった。


久々に一緒に歩いた道のりは、いつもの道よりも遠く感じたけれど、近くも感じた。

――本当に、久々だったな。


中学の頃は一緒に時間を合わせていたのに。

高校に入ってからは時間が合うこともなかった。修弥が遅いからっていうのもあったんだけど。

別に約束をしていたわけじゃなかったけれど一緒に歩いた中学時代。


約束をしていなかったからこそ




時間をずらした。
そうしたのは、私。


だけど何も言わなかった、修弥。