その瞬間の修弥の顔が、一瞬、昨日の修弥に重なった。
「んだよ、熱でもあんのかと思っただけだっつの」
「あ、や、びっくりして…ごめん…大丈夫。朝一応測ってきてなかったから…」
言い訳みたいだ。
自分で口に出しながらそんなことを思う。
「修弥が私に触れるとか珍しくて驚いただけ…」
そう口にしてしまって、修弥も止まった。同時に私も――あ、と思ったのだけれど。
何バカなことを言ってるんだろう。
恥ずかしさまで感じてしまって思わず目をそらした。
触れるとか、触れないとか、そんなこと今まで考えてなかったのに。
昨日、昔のことを思い出してしまったから、つい――…
「ばーか」
こんっとうつむいている私の頭に修弥が軽く叩いて笑った。
「ほら、遅刻すんぞ」
何もなかったかのように歩く修弥。
少し頭に手を当てて、痛くもないのにさすった。