「だからさ、ソウちゃんの気持ちが大丈夫であれば普通にしててほしい。今すぐは無理だろうけどね」


顔を上げて明日香は笑った。


「明日香…」


「とりあえず、フェスまでにはみんな今までと変わらないで元に戻ってほしい」

「あたしから幹太にも言ってあるから。ルウコの思い出作りみたいでイヤかもしれないけど、ソウちゃんがルウコの生き甲斐なの。だからお願いします」


頭を下げられてビックリする。


「おい、お前がそんな事する必要ないだろ…」


と言ってから、床に明日香の涙がポタポタ落ちてるのが見えた。


ボクは思わず明日香を抱きしめた。


「ソウちゃん?」


「これは浮気じゃねーからな。明日香がオレの代わりに泣いてるから。だから自分を抱きしめたと同じだからな」


「あははは」


明日香の笑い声が聞こえた。


「あたしだって冗談じゃないよ。でも、ルウコはソウちゃんはいい匂いするってのがわかった」


ボクはその言葉に笑って、明日香を離した。


「楽しみだね、夏休み」


明日香の言葉に「そうだな」と笑い返した。