「ソウ!!」

デカイ声が響いて、ボクは我に返った。と、同時に背中に激しくボールがぶつかった事に気づいた。
痛みに思わずしゃがみこむ。


「おい、ボーっとしてんなよ」


幹太が駆け寄ってきた。


「あ、悪い・・・」


ボクは立ち上がって、転がっているボールを幹太にパスした。


「どうしたんだ?」


足でボールを受け取った幹太が怪訝そうに言った。


「いや、ボーっとしてただけ。大丈夫だよ。悪いな」


「何だよ、ルウコちゃんが早退して元気ないのかぁ?部活中は気にしてないフリして実はお前も意識してたんじゃないのか?」


「違うよ」


ボクはちょっと笑って、自分のポジションに歩きかけて・・・


(今、何やってるんだっけ?)


「幹太」


戻りかけている幹太を呼んだ。幹太が振り向く。


「今、何の練習してるんだっけ?」


「はぁー?」


ボクの言葉に呆れている。


「紅白戦!何、寝ぼけた事言ってるんだよ。しっかりしてくれよ」


「あ、そうか。そうだったよな、あはは・・・暑さにやられてるかも」


ボクは笑って今度こそ自分のポジションに戻った。