それはただの偶然だった。



ボクとツナミが毎月の命日・・・あれはルウコが亡くなって2回目の命日の日だったと思う。


2人で墓参りをしてからツナミがバッグから手紙を出した。


「父ちゃん、ママにお手紙あげたいんだけどどうすればママに届くの?」


ボクはその場で考え込んでしまった。


骨壷が入っている場所に置くってのもおかしい。




「うーん、どうすればいいかな」


ボクが腕組をして悩んでいると偶然見回りをしていたこの住職に声を掛けられた。


「どうかされましたか?」


ボクが言葉を発する前にツナミが住職に言った。


「おじさん、ツナミねママにお手紙あげたいんだけど、どうすればいいの?」


住職はちょっと考えてからツナミに言った。


「おじさんはね、天国の郵便屋さんなんだよ。おじさんが届けてあげるよ」


そう言って、境内で焚き火をして手紙を一緒に燃やしてくれた。


「手紙、燃えちゃった!!」


ツナミもボクもビックリしてしまった。


「本当はどんどん焼きなどの時がいいんですけどね、これも供養になりますよ」


ボクに説明してから、ツナミに笑顔を向けた。


「お嬢ちゃん、おじさんがママにお手紙を書いた時に郵便屋さんになるからいつでも言ってね。煙が出てるでしょ?この煙は天国に届く煙なんだよ。お嬢ちゃんが書いた手紙は煙になってママに届くんだよ」


それから毎月の命日の日。墓参りの後、ボクとツナミはルウコへ手紙を書くのが習慣になった。