「父ちゃん!!」


ボクは甲高い声にため息をついた。


「あのな、何でお前は『お父さん』って呼べないかな?」


そんなボクを見てニヤーって笑う。


「だって、ママが「父ちゃん」って呼ぶじゃん」


「違う。ママは「ソウちゃん」って呼んでるんだよ」


キョトンとした顔でボクを見ている。


「何だよ?」


「・・・だから「父ちゃん」でいいんでしょ?」


「おい、父ちゃんじゃなくて「ソウ」!!ソウちゃん」


「だったら今度から「ソウちゃん」って呼んだらいいの?」


「お前、親をなめてるだろ」


ボクがゲンコツを作る仕草をすると「キャー」と言ってドタドタ走り回った。

その後をボクが追いかけて掴まえる。


「ソウちゃんに捕まったー!!!」


掴まったクセに嬉しそう。その笑顔はルウコにソックリだ。