テーブルにはボクらの結婚式の写真が埋め尽くすくらいに散らばっている。
ルウコはそれを愛おしそうに眺めながらまた話始めてた。
「だからね、あたしが生きている意味、存在理由はソウちゃんなの。それはこれからも変わらないよ。・・・でも、あたしにはリミットがある。お婆ちゃんになるまで・・・、ううん。この子に『ママ』って呼ばれるまで生きていたい。でもね、現実は変わらないから、ソウちゃん、あたしが死んでしまったら棺にお花なんていらない。ソウちゃんが書いてくれて青い便箋の手紙いっぱいに埋め尽くされて逝きたいの。ソウちゃんからの手紙、持っていってもいい?」
「そんな・・・オレ達これからじゃん。子供だって生まれるし未来はずーっと先まであるんだぞ。今からそんな悲しい事言わないでくれよ」
ボクはなさけないけど泣きそうになった。
鼻の奥がツンとする感覚と、喉がヒリヒリする。
ルウコはたった17歳からそんな事を考えていたのか?
それって切な過ぎるはないか。
あの頃のボクらは今よりずっと子供で、ルウコの病気の事を考えたら、
『今がよければはいい』とは思わなかったけど、それでも普通の高校生として
過ごしてきた。
泣いたり笑ったり怒ったり・・・。
そんな頃からルウコはそんな事を考えていたなんて・・・。
「ソウちゃん、あたしはそう簡単に死ぬつもりないからね。だから未来はまだまだ続くんだよ」
ルウコが笑顔いっぱいで言った。