とりあえず、今日だけは入院する事になったとルウコの母親が言った。
ボクが頭を下げて帰ろうとすると「送っていくわ」と車のキーを見せた。
車の中でルミがはしゃいで喋っていた。
「ソウちゃんはお姉ちゃんの彼氏でしょ?」
「え?・・・あ、まぁ・・・」
ボクが曖昧に答えるとちょっと大人びた言い方をする。
「知ってるのよ。お姉ちゃんが自慢してたもん。指輪もお揃いよね」
ボクは自分の左手を見た。それからルミに答える。
「うん。指輪お揃いだよ。オレもお姉ちゃんは自慢の彼女だよ」
「そうなの?将来はルミのお兄ちゃんになるかもね」
ルミの言葉に苦笑いをした。
「ルミ、ソウちゃん疲れてるのよ。静かにしなさい」
運転をしながらルウコの母親が言った。
ルウコの親に「ソウちゃん」と呼ばれると変な感じがする。
「ソウちゃん・・・」
「え?」
ルウコの母親がボクに話しかけてきたのを聞いてビックリした。
「ごめんなさいね。ルウコがいつも『ソウちゃん』って呼ぶからうちの中ではあなたってすっかり『ソウちゃん』なのよ」
照れ笑いしながら言った。