病室に行くとちょうど酸素マスクを外されたルウコがボクの方を見た。


「ソウちゃん」


呼ぶ声に力はないけど、ルウコの母親が言うには特に命に別状はないらしい。


「大丈夫か?」


ボクはイスに座ってルウコの手を握った。

ルウコは笑顔で頷く。

その顔は母親にもルミにもそっくりな笑顔だった。


「ごめんね、ビックリしたでしょ?」


「うん、さすがにビックリした」


「でも、先生がすごくしっかりした彼氏さんだねって言ってたよ」


「いや、スゲー焦ったよ。全く動かないし・・・」


「あたしもこんな発作初めてなの。症状の一つにはあるってのは知ってたけど」


「あんまり喋らなくてもいいよ。疲れるだろ?」


ボクがちょっと笑うとルウコも笑い返してきた。




病室のドアが開いてルミが顔を出した。


「お姉ちゃん、大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ」


ルウコの声を聞いて笑顔でそばに寄ってきた。

そしてボクの隣のイスに座るとボクを見て心配そうな顔をした。


「ソウちゃんも大丈夫?」


「え?オレは大丈夫だよ」


答えると「良かったね」とまた笑顔に戻った。