「ねぇ」
始業式の長いHR中、欠伸を連発しているといつの間にか明日香がボクの前の席に座っていた。
ボクの前の席のヤツは友達と喋っている。
何て自由すぎるんだ!うちのクラスは!!
「あ?」
欠伸の途中でボクは返事をした。
ルウコは幹太とCDを見ながら楽しそうに喋っている。
「ルウコが女になった」
「は?ルウコは元々女だろ」
「ソウちゃんは優しかったって!もう、テクニシャンなんだから!!」
「はぁ!?」
明日香は足を組んでため息をついた。
「ソウちゃん、そんなに上手いのかー。あたしも1回相手してもらおうかしら」
「お前、絶対アホだろ」
やっぱりルウコが言った通り、明日香と姉貴の瑠璃は似てるかもしれない。
「まぁ、とにかく。ルウコがソウちゃんと付き合って幸せでよかった」
「何だよ、急に」
「ルウコって、ソウちゃんと付き合う前は何か・・・病気だって事で全てを諦めてる感じがしたの。ほら、今って受験の事考えなきゃいけないじゃない?」
「まぁ、そうだけど・・・」
始業式のHRが始まった途端に進路志望の紙が配られる。毎度の事だけど。