柏木・・・、いやルウコはボクをジーっと見ている。
「かし・・・ルウコって呼ばなきゃダメ?」
ボクは心臓をバクバクいわせながら言った。
「うん。ルウコ。あたしもソウちゃんって呼ぶって書いたでしょ?」
ルウコは少し笑顔になった。やっぱり「元気」な笑顔とは違う気がする。
「何でオレに手紙書いたの?」
周りに聞こえないくらいな小声で聞いた。
「うーん、どうしてだろうね。それは秘密。ソウちゃんが返事を書いてくれたら、それを繰り返してくれたら教える」
「やっぱ、手紙なの?メールとかじゃダメなのか?」
ボクの提案に「絶対ダメ」とルウコは言った。
「今、ルウコさ、繰り返すって言った?それって文通みたいなもん?」
ボクの質問に笑顔で言った。
「ルウコって呼んだ。フフフ・・・嬉しい」
あー、つい呼んでしまった「ルウコ」って。
「そうだよ。文通するの。手紙書いたらお互いの下駄箱に入れておくの」
「オレ、手紙なんて書いたことねーよ」
「そうなの?じゃぁ、あたしがソウちゃんから手紙もらえる第一号だ」
クスクスとルウコは笑っている。
「作文みたいになるぞ?それでもいいの?」
「いいの!」
ボクは呆れてルウコを見た。
なんだ、ルウコだってみんなが思うよりずっと「普通の女の子」だ。
表情がクルクル変わる、どこにでもいる女子高生だと思った。