不穏な空気の中で、男の子がちょっと耐えられなくなったみたいで言った。

「あのさ、サトシだってちゃんと考えてるんじゃねぇの?特にはオレにも言わないけどサトシだけが悪いわけじゃないだろ」

ミカが男の子を一瞥しただけだった。視線はずっとサト。

「サトシ、あんたはいないから見れないと思うけど、ウチにいる時に明るく喋ってるけど、うらら寂しそうだよ?『今日も来なかったね』って笑って言って手紙書くの。そんな姿見てないからわかってないって言ってるの。手紙の意味、理解してる?」

「暗記するくらいわかってるよ」

サトはタバコに火をつけた。

「じゃなくて!意味!意味の話をしてるの。文章だけじゃなくてどんな思いで書いてるのかわかってるの?って聞いてるの」


「ミカもサトも、もういいからさ。やめようよ」


あたしの後ろに座ってたサトは引っ叩かれる前にあたしの隣に移動していた。
サトはあたしを黙って見ている。

「サト」

あたしはサトに言った。

「あたしが書いてた手紙の意味、理解してるよね?」

「してるよ。悪いとも思ってるし、学校に迎えに行こうかなって考えるよ」

ミカもため息をついてからタバコを吸いだした。

「引っ叩いて悪かったけど後悔を反省もしてないからね。でも、こんなに想ってくれる人っていないってサトシ自覚しなよ。合コンもいいけどさ」




しらけた雰囲気の中で4人でいると、またインターホンが鳴った。

ミカは出る気が全くないみたいだから、あたしがドアを開けた。


「もー、酒がないって電話くるからさ。これでも急いだんだよー」

袋をいっぱい下げたミカとあたしと同じグループのアイコと別の男友達が笑いながら部屋に入ってきた。

あたし達の様子を見て

「え?タイミング悪かった?」

アイコが言った。