星だぁ・・・・」

親睦花火大会の夜、みんなが花火片手にキャーキャー騒いでる。

あたしは空を見て思わずつぶやいた。

「は?星?」

いきなりそばで声が聞こえてビックリして振り返る。
そこにはダルそうにタバコをくわえたヒロがいた。

「あぁ・・・、ビックリした。そう、星。ヒロ、北斗七星ってどれかわかる?」

「お前バカしてるだろ?えーっと・・・・、ほら、アレだ」

ヒロが指差したのは・・・

「それ、カシオペア座」

あたしは笑ってしまった。

「うるせーな。間違っただけだよ。それより、お前ってヤスの事好きなの?」

ヒロはニヤニヤしながら言った。

「え!?何言ってるの!!違う、違うってば!」

真っ赤になって否定するあたしにヒロはまだニヤニヤしてる。

「バレバレですよー、うららチャン。協力してやろうか?」

「何が・・・!!いらない!いらないです」

「ふーん、残念。オレも協力してもらおうと思ったのに」

「何?ヒロ、好きな子いるの?誰?」

あたしはヒロが向けている目線を追った。
そこには若葉がつけたドラゴン2つを見て笑っている女の子がいた。

グループで一番可愛い「りっちゃん」
みるからに女の子らしくて、声が高くて、その高い声で「キレイだねー」って笑っている。

「ウソ!?りっちゃん?マジ?」

ヒロはちょっと赤くなりながら、地面にタバコを押し付けてた。

「お前、言うなよ。お前だから言ったんだからな。その代わり、オレもお前がヤスの事好きだって誰にも言ってねーんだから」

グループの中であたしはりっちゃんと一番仲が良かった。

「りっちゃんかぁ・・・・、ちょっと理想高すぎじゃない?」

「あ?何だよ文句あんのかよ」

「いや、別にないけど。うーん・・・、好きな人はいないっては言ってたけど」

「マジか!!」

ちょうどそこへヤスくんとりっちゃんが「花火やろーよ」と手持ち花火を何本か持ってきた。
2人は同じバスケ部だから結構仲がいいみたい。

あたしとヒロはお互い顔を見合わせた。