「もうすぐ卒業だねー」

チカと街を歩いているとチカしみじみ言った。

「うらら、大学受かってよかったね」

「うん、ありがとー」

あたしは志望してた短大に合格した。

この街に出てきて最初は知らない人ばっかりでイヤだったけど、今じゃこの街が大好きだ。


マックに寄って2人でハンバーガーを食べる。

「思ってるんだけどさ、うらら、サトシくんの事諦めたら?」

「何で?」

あたしはハンバーガーを口に入れながら言った。

「だってさ、うららの事好きって言ってくれる人いるじゃん。その人と付き合った方が幸せかもしれないよ?」

他校の男子があたしを好きでいてくれて、気が合うし一応「友達」として最近仲良くしている。

「うーん。でも、あたしはいつかサトが好きになってくれるのを待ちたい」

「そうだけど・・・」

チカは窓越しに地下街を見て「え?」と言った。

「どうしたの?」

あたしもつられて窓を見た。



そこには知らない制服を着た女子高生とサトが一緒にいた。
楽しそうに2人で笑っている。


「何・・・?ウソでしょ?」

あたしは呟いた。

「たまたまさ、友達と会っただけかもしれない。そうだよ!」

チカは必死に言った。

サトとその子は手を繋いでいた。

坂道で繋いでくれた手の感触を思い出した。


あたしは凍りついたように動けなかった。