「そんなむくれた顔しないで。用事あったんだよ、きっと」

学校帰りの地下街であたしとチカはパフェを食べていた。

「絶対ずらしたんだと思うよ。だって約束してたもん」


夏休み明け、高校最後の夏休みにあたしはサトと約束をしていた。
『サトの家に遊びに行く』という約束。

サトはいつも通りののんびり口調で「エッチしちゃうかもね」と冗談を言っていた。

夏休みになってもサトからはなかなか連絡が来なくて、1回きたと思ったら
「忙しいんだ」と言って早々に電話を切ってしまった。

そして夏休みも終わり、約束はなくなってしまった。



「サトシくんってイマイチよくわかんないよね」

チカの言葉にうなずく。

「もう、全然わかんない!あたしの事が好きなのか友達なのかもわかんない」

「でも、うららはサトシくんの事、大好きなんだよねー」

高3になって、何の奇跡かあたしは2度告白された。
でも、サトの事が好きだから断った。

あたしの頭の中はサトの事でいっぱいでパンクしそうなくらいだ。
短大を受験する事は決まっているけど、勉強する気にもならない。


「うらら、気分転換に飲み会しようよ」

チカが言った。

「飲み会?」

「そ、クラスで飲み会。楽しいから気分転換になるよ」


うちのクラスはいい意味でバカばっかりの楽しいクラス。
飲み会はもう何度目かな?

ちょっと楽しみになってサトとの約束の話は忘れようと思った。