「うーちん、何で写真撮りにきたの?」

サトが言った。

「何でって、サトって人気あるんだね。ファンみたいな子いっぱいいるよ」

「ファン?オレの?何で?」

のんびりした話し方がちょっと可愛い。

「さぁねぇ、密かに「王子」って呼ばれてるんだよ。知らなかった?」

「ふーん、オレってあんまり人に興味なんだよね」

(じゃあ何に興味あるんだろ?)

あたしは首を傾げた。

「でも、女の子は好き」

吹き出してしまった。

「あははは、そうなんだ。サトって変だね、面白い」

「面白いかなー、普通だけど」

ブツブツ言っている。

「うーちんも王子だと思う?」

あたしはちょっと考えた。そして正直に答えた。

「ごめん、全然思わない。あははは、もしかして気を悪くした?」

「いや、思われない方がいいから」


あたし達は夜中まで話をしていた。


翌日、眠い目をこすりながら地下鉄に乗っているとサトが乗ってきた。

「あ」

あたしはチカと一緒に乗ってて、ちょうどサトの話をしていた。

サトも友達と一緒に乗ってきた。

あたしが手を振ろうとすると、サトあたしの方に振り返って指で「シー」という合図をした。

「え?」

内緒って事?何で?

あたしがうーんと頭を悩ませていると、チカが言った。

「ねぇ、うららあの人と本当に喋ったの?」

「そうなんだけど・・・、内緒みたいなんだよね」

「ふーん、変な人だね」

チカの言うとおり本当に変。すごく変わっている。
今まであたしが出会った事がない男の子。