「もしもし」

携帯に出ると「あんたうらら?」と知らない男の子の声がした。

「そうだけど、誰?」

ベッドに腰をかけてタバコに火を点けた。

「G組の・・・、サトシ」

そう言われてもイマイチ思い出せなかった。

「サトシ?サトシって・・・・」

(ん?サトシ?G組?まさか・・・)

「うわ!!王子!?何であたしの番号知ってるの?」

あたしはかなりビックリした。

「王子?何それ?」

サトはのんびり喋る。この人ってこんな話し方するのかな?

「あ、王子はコッチの話。うわービックリした」

サトは電話越しに笑っていた。

「ビックリした?何で番号知ってるかもビックリ?」

「全部ビックリ。え?何か用事?」

「別に。何で番号知ってるかは秘密」


(何だか学校でのイメージと全然違うんだけど)


「ヒマだったから電話しただけ。ねぇ、お前の事何て呼べばいいの?」

「は?何てって・・・、別に何でもいいよ」

変な事聞く人。

「うーん、じゃあね・・・、「うーちん」。うららだから、うーちん」

「うーちん?呼ばれた事ないよ」

あたしは笑った。

「だから呼ぶの。お前はオレの事、何て呼ぶの?」

「え?何てって・・・・、みんなに何て呼ばれてるの?」

「サトシ」

「そんままか・・・、えーと、どうしようかな?じゃあ、「サト」にする」

「サト?呼ばれた事ねーよ」

「だから呼ぶの。サトで決定ね」

あたし達は笑った。