「そんな見られても・・・。中学の時ね、いたんだ。すげー好きだった」

花くんは笑いながら言った。

「結果、振られたんだけどさ。絶対結婚してやる!って思ってたなー」

「ふーん」あたしは花くんの話しをかなり真剣に聞いた。
ものすごい好きって何だろう?まだ全然わからない。そんな人いないし。

「で、失恋をキッカケに花は遊びに走ったのである」

ヒロが言うと花くんは爆笑した。




「好きな人ねー・・・」

バイト中、モップがけをしながらあたしは呟いた。

「いるんですかー?」

本棚の所から声がしてビックリする。
知らない男の子がジャンプを立ち読みしながら喋ったみたいだ。

「え?」

どう考えてもあたしの独り言に返事をしたとしか思えない。

男の子はジャンプを棚にしまうと。あたしをじーっと見た。

「忘れた?オレの事」

(何だ!?忘れた?知らないし、この人たまに来るけど知らない・・・)

(ん?知らない・・・かな?見たことあるような・・・)

あたしもつられてマジマジと男の子を見た。

「うらら、オレの事覚えてない?」

「あれ?・・・ワタル?書道教室にいた?」

「ピンポーン!!すっげー久々。小学校以来?」

小学校の時に通っていた書道教室にこの子は確かにいた。
隣の小学校の「ワタル」。よく一緒にイタズラした。

「え?ワタル?ビックリだよー!超久々じゃん」

あたしは笑顔で言った。

「お前さ、気づかなすぎだって。オレ、だいぶ前から気づいてたけど」

「もっと早く声掛けてよ。ビックリしたー」

そうか、ここら辺はワタルの中学のそばになるのか。

「うららはヤンキーじゃないんだな」

ワタルの言葉に「何で?」と聞く。

「オレはバスケやってたから関係なかったけど、お前の中学めっちゃ怖かったじゃん。えーと何だっけ?モリくん?あの人達にうちの学校のヤンキー、上納金納めてたんだよ」

うわ・・・、久々にモリの名前聞いた。
上納金って暴力団かよ!!

「あ、そうね。あたし関係なかったし。そんなヤンキー確かにいたわ」