高校初めての学校祭。

あたしはクラスの友達と露店を回っていた。

フランクフルトを買って食べようとした時、肩をポンと叩かれた。

「若葉?」

振り向いたら、若葉が笑顔で「おー元気か?」と言った。
若葉に会うのは卒業式以来だ。
若葉はヤンキーだったとはとても思えないほど、オシャレな感じに変わっている。
ヒロとモリと組んでいたバンドを若葉は結構早くに辞めてしまっていた。
やっぱりバンド仲は上手くいかなかったみたいだ。
ヒロと西と同じ高校に通う若葉だけど、ヒロ達とはあんまり仲良くないみたいでヒロから若葉の名前は聞いた事がない。
そんなヒロとモリのバンドも高校入学時には解散したみたいだけど。

「久しぶりだねー、ヤンキーには見えないけどどうしたの?」

あたしはニヤニヤしながら言った。
まぁ、若葉に関わらず、ヒロも西もすっかりオシャレな感じに変わったけど。

「ヤンキーとか言うなよ、恥ずかしいな。お前、ちょっと可愛くなった?」

若葉もニヤニヤしている。

「だったら、誰か紹介してよ。ヤンキーじゃない人」

「あれ?お前、3年に彼氏いんじゃなかった?」

この噂はどこまで広がってるんだか・・・

「いないよ。別れた。で、若葉は何でうちの学祭に来てるの?ナンパ?」

うちの高校は3分の2が女子で、学祭ともなると市内の男子高校生がウジャウジャとくる。今日は2日目で、この後、うちの学校の生徒だけ参加の後夜祭を残すのみだけど、この2日間、他校の男子生徒を何人見ただろうか。

「まぁなー。お前、誰か紹介しろよ。最悪、お前でもいいよ」

「は?ヤダよ。こんなヤンキー、誰が紹介すんのさ」

若葉と別れた後、一緒にいた友達が「カッコイイ」と言っていたけど、冗談じゃない。紹介なんて死んでも出来ない。


また友達と歩こうとすると「うららちゃん」と今度は両肩をガッチリ掴まれた。

「え・・・?」

あたしはイヤな予感がしながらも振り向いた。
あたしの肩をガッチリ掴んだこの人は、あたしが付き合ってた先輩と仲がいいちょっと強面な先輩だった。

「今の男、誰?彼氏?」

「あ、今のですか?中学の同級生ですけど・・・、何か用事ですか?」

ひきつりながら答えた。