数日、あたしは毎日学校に行った。
心配?なのかわからないけど、ヒロも珍しくきていた。


放課後、あたしが1人で机に向かってペンを持って悩んでいると

「何やってんだ?」

ベースのケースを肩にかけたヒロが声を掛けてきた。

「あ、これからスタジオ?」

「おう。で、お前は何をそんなに真っ白な紙相手に悩んでるんだ?」

あたしの机の上の白紙を不思議そうに眺めた。

「あー、これ?」



それは3日前の事。

あたしが廊下を当たり前だけど、1人で歩いてると「うららー、コラ!」と
野太い声がした。

振り返ると、学年主任の「佐藤」だった。
佐藤は泣く子も黙る鬼教師で、ヤンキーだろうと何だろうと怒るときは吹っ飛ぶくらいなビンタをかます。でも、情に厚い教師でどんな生徒にも平等だった。

「え?何?あたし何かした?」

佐藤は驚くあたしを「ちょっと茶でも飲まんか?」と生徒指導室に連行した。


生徒指導室のソファに座ると本当にほうじ茶が出てきた。

「最近、学校でお見かけしますがどうしましたか?」

ニヤっと笑いながら向かえのソファに座った。

「別に・・・、もう秋だし、受験困るもん」

あたしが言うとまたニヤっと笑った。
佐藤はあたしのクラスの副担任でもあった。

「まぁ、いい。ところで、うららさんはずーっと学校来てなかったんだから、当然、文化祭に何をやるか知らんだろうな」

「へ?文化祭?」

「お前のクラスは壁新聞をやりまーす」

壁新聞とは、大きな模造紙に全部手書きでレタリングをした文字を使って、本当の新聞のように作る物だ。模様なども入れるので美術のセンスも必要だ。

「ふーん、面倒そうだね」

あたしはお茶をすすりながら他人事のように言った。

「そう!大変だぞ。監修は当然美術の教師のオレがやるんだけどな」

(余計、面倒そう・・・)

「それがどうしたの?」

あたしは聞いた。

「おめでとう!壁新聞の係には何と、うららもいます」

佐藤の笑顔に「はぁ?」とあたしは言った。