「このクラスの人、全員バカじゃないの?何なの?あれ何?」

あたしはイライラした気持ちをそのままヒロに言った。

「全員って・・・、オレと西もかよ」

ヒロは笑いながら教室をちょっと覗いた。
そして、あたしが最初に入った時同様に腕組をした。

「ふーん。あれはな、バカじゃなくてアホがする事だ」

ヒロは「元カノ」がイジメに遭っている姿をどう見てるんだろう?

「で」

と続けた。

「うららはそんなアホじゃないって事はオレはわかってるしな。」

「え?」

「だから、うららは人の痛みがわかる人間だからあんなアホな事には便乗しないって事、オレはわかってるよ」

そう言って笑顔になった。

「あはは・・・」

あたしもつられて笑ってしまった。
人の痛みがわかるのはヒロの方なんだよ、そう思った。

「机ね、あれ消すにはクリーナーじゃないと落ちないの。りっちゃん、知らないからさ。ゴシゴシこすっても落ちないのに」

何だか笑いたいのか泣きたいのかわからなくなった。

「そうか。クリーナーの場所もうららじゃねーとわかんねーもんな」

「そうそう。本当に、何だろうね」

あたしは走って職員室に向かった。

「クリーナーごともらってきてやれよ」

走るあたしにヒロは声を掛けた。