「うらら、あのさ、『あたしが何したんだよ』ってぶん殴ってやればいいんだよ！ふざけんなって怒鳴ってやればいいんだよ！」

「別にいい。もう慣れたから」

あたしは小さい声で言った。

「はぁ？慣れたなんてふざけた事言ってんじゃねーよ。お前、オレがうららと同じ状態だったらどう思う？大事な友達が苦しんでるのに救ってやれない気持ち、どう思う？オレはお前を大事な友達だと思ってるんだよ。だから、何とかしてやりたい、助けてやりたいって思うのはおかしいか？」


あたしは下を向いたままだった。
今、顔を上げたら涙が一気にボロボロこぼれそうで、それを隠すのに必死だった。


ヒロの言葉は重みがあって、怒ってるけど、それはあたしに対してじゃなくて、自分があたしを救ってやれないって怒ってる。
あたしの事を誰よりも本当に考えてくれてる。


その気持ちが嬉しくて、苦しかった気持ちを理解してくれたのが嬉しくて涙がもうこぼれる限界まできていた。
あたしが泣いてる事にヒロは多分気づいてるはずだ。


「今日、西がいないのは･･･、この話をしたかったから？」

鼻声になりながらも何とか言葉が出た。

「あぁ、これはお前と２人で話したかったから。西も心配してるんだぞ。オレやお前が学校に行かないから、アイツが学校行ってクラスはどんな感じだとか、うららに対しての情報とかオレに教えてくれてる」

「そうか…」

「オレと西の気持ちも少し考えて、前向いて歩けよ。大丈夫、クラスに誰もいなくても、オレと西はお前のクラスのヤツらだし、オレはお前を親友だと思ってる。自信持てよ」


あたしは我慢出来なくてとうとう泣いてしまった。
子供みたいにワンワン泣いてしまった。


あたしもヒロをすごく大事な友達だと思っていて、その気持ちが同じで、それだけで胸がいっぱいで、とにかく泣いてしまった。

ヒロがずーっと考えていたのもわかって、あたしはただ子供みたいに泣いた。


「あたしも、ヒロの事、すっごい大事な友達だと思ってる。西も大事だよ」

涙声で言葉につまりながら言った。


「そっか、ありがとな」

ヒロは笑顔で言った。


またそれが嬉しくて、お礼を言いたいのはあたしの方なのに･･･。
涙はずーっと止まらなかった。