『病は気から』


この言葉を考えた人って天才かも…


点滴が落ちるのを見つめながら思った。


視線を変えて、左手の手首を見る。


グルグルに包帯が巻かれた腕は不思議と痛みはない。

鋭利な剃刀で思い切り深く切ったはずだけど、不幸中の幸いというのか縫うまでには至らなかったみたいだ。


寝台のカーテンが開いて、疲れた顔をした恋人がそばの椅子に座った。


「点滴終わったら帰っていいって。傷は残ると思うらしいよ」


「うん…」

あたしはうなずいた。



きっかけなんて下らない、付き合っていたら当たり前にある喧嘩でこんな事になってしまう。


最近、自分の感情を上手くコントロール出来ない。