しどろもどろしているとユキは「へー、叶わない恋だね」と言った。



モリがあたしを好きなはずは絶対ない。断言できる。
なのになんでそんな事言うの?



ヤンキーくんが「嫁から電話だ」と席を離れた時にモリは言った。

「あいつ、お前が独身だって知って狙ってた。だから防御したの。オレが好きだって言えば何も出来ないだろ?だから話、適当にあわせておけよ」

「なるほどねー。モリってバカだと思ってたけど考えてるんだね」

ユキは感心しながら言った。

「まさか、そんな事あるわけないじゃん。結婚してるんだよ、あの人」

あたしが言うと2人揃って「甘い!」と言った。



「あいつめちゃくちゃ酒強いんだよ。いくらうららがそれなり強いっても負けるんだよ。ベロベロになって押し倒されたら終わりだぞ?オレが好きだって連発してれば絶対何もしないから」

「そうなの?」

あたしはちょっと怖くなった。

「ユキ、お前よりによって何であいつを連れてきたんだよ」

モリはうざそうに言った。

「え?だって2人共、仲いいじゃん。だから楽しいかなって思ったんだけど、知らなかった。うらら、ごめんね」

ユキが申し訳なさそうな顔をする。

「あたしは別に何もされなきゃ久々だから別にいいんだけどさ。気にしないで」

「うん・・・、まぁ、あたしも相当酒には強いから潰れてうららを1人にするって事は絶対ないから安心してよね」

ユキが力強く言う。
あたしは笑顔でうなずいた。


結局、モリは酔いつぶれてヘロヘロになって寝てしまったけど、あたしもユキもそこまではならなかった。

ヤンキーくんは朝方に「帰るわー」と言って帰って行った。


「よかったねー」

あたし達は心底安心した。

ユキは寝ているモリを見て

「あたしがいなかったら、うららの事守れなかったじゃん」

と呆れた。