涙が洪水みたいに一気に出てきた。


「ちゃんと償うの、あたし悪い事ばっかり…、だからそれは、償うけど…」

声を詰まらせて話すあたしをモリは優しい顔で見ている。


「いつも何かがある時はヒロを思うの、いつも。答えは返ってこなかったけど、辛い時はヒロを思ってた…辛いから思い出したくないはずなのに、ヒロに聞いてた…」


「うららにとって、ヒロは大事ってよりも安定剤?」

「え?」


「うららからヒロの話を聞いた時、そう思った。安定剤が急になくなったらバランスも崩れるよなって、そう思った」


モリはあたしのバッグを指差した。

「その中に入ってる薬よりも、・・・これはたらればになっちゃうんだけどさ、ヒロが生きてたらそんなモン必要なかったよな?だってお前オレに教えてくれたじゃん。ヒロはいつも人の事ばっかりであたしの事ばかり考えてたって」


「ヒロに聞いてたって悲しい事言うなよ。友達たくさんいるだろ?相談すればいいんだよ」


泣き顔で放心したようにあたしはモリの話を聞いていた。


「それがなかなか出来ないんだったら、オレがいつでも聞くから。かなりな役不足だけど、ヒロの代わりになるから。努力するから。だから泣くのを我慢するのはもうやめよう」


「あたしね、ヒロに会いたいの。話がしたいの、それだけなんだよ」


モリはあたしをギュっと抱きしめると言った。


「うらら、オレもお前と同じくらいヒロに会いたいんだよ。同じ気持ちなんだよ。オレだって話したいことたくさんあるんだよ。でもヒロはいないんだ。もう理解して、辛い気持ち開放してやろうよ。お互いにさ」


モリはちょっとだけヒロに似てる。

ヒロが「最高の友達」と言っただけあって、本当に優しいと思った。


「あたし、頑張ってヒロの事、気持ちの整理つけるよ」

あたしが言うと「時間かかってもいいんだよ。誰も責めないから」と言った。