「お前が1人でここにいたんだよ。で、コイツって若葉とヒロの友達じゃなかったかな?と思って、オレも1人でいたから話しかけた」
「えー、それはないよ。モリの事怖かったから近寄るはずないもん」
あたしはしかっめ面をした。
「いや、間違いなくオレはお前に話かけたんだよ。そしたらお前、オレの事無視して行っちゃった」
モリは笑った。
「全然記憶にない。それ、ウソでしょ?」
「いや、本当だって。この女、オレの事無視するなんていい度胸してるなって思ったから。だから、オレはうららの事知ってたんだよ」
まだ疑っているあたしに「本当だって」とムキになった。
先生にお礼を言って、あたし達は学校を出た。
学校には確かにあたし達の痕跡があって、それはヒロがいたって事にもなる。
ヒロの痕跡も確かにあった。
ゲルニカを見たとき、あたしはそう思った。
車に乗った時、あたしはふと思い出した事を言った。
「モリ、ギタリストのオジサンが来た時の事覚えてる?」
往年のギタリストが芸術鑑賞会に来た。確か3年の時だった。
今までの芸術鑑賞会は泣けるお芝居とか映画とかそんなどこにでもあるようなものだった。
ところが急にギターを抱えたオジサンが現れた時にはみんな度肝を抜かれた。
「おー、憶えてる。カッコイイとかじゃなくて単純にギターすげーなって思って見てたからな。何だこのオッサンはって衝撃受けた」
「あの人呼んだのって佐藤なんだよ」
泣く子も黙る学年主任の佐藤。
あたし達の時代の子は不良がバンドをやっていた。
だけど、「ロックは不良じゃない。芸術なんだ。どんな不良でどうしよもないヤツでも何かに熱中してればそれは立派な個性になる」
そう言って、他の先生の反対を押し切ってギタリストを招いた。
「何でお前がそんな事知ってんの?」
「佐藤に聞いたから。何で、ギターのオッサン来たの?って。そしたら答えてくれた」
そんな佐藤も数年前にガンで他界している。
「えー、それはないよ。モリの事怖かったから近寄るはずないもん」
あたしはしかっめ面をした。
「いや、間違いなくオレはお前に話かけたんだよ。そしたらお前、オレの事無視して行っちゃった」
モリは笑った。
「全然記憶にない。それ、ウソでしょ?」
「いや、本当だって。この女、オレの事無視するなんていい度胸してるなって思ったから。だから、オレはうららの事知ってたんだよ」
まだ疑っているあたしに「本当だって」とムキになった。
先生にお礼を言って、あたし達は学校を出た。
学校には確かにあたし達の痕跡があって、それはヒロがいたって事にもなる。
ヒロの痕跡も確かにあった。
ゲルニカを見たとき、あたしはそう思った。
車に乗った時、あたしはふと思い出した事を言った。
「モリ、ギタリストのオジサンが来た時の事覚えてる?」
往年のギタリストが芸術鑑賞会に来た。確か3年の時だった。
今までの芸術鑑賞会は泣けるお芝居とか映画とかそんなどこにでもあるようなものだった。
ところが急にギターを抱えたオジサンが現れた時にはみんな度肝を抜かれた。
「おー、憶えてる。カッコイイとかじゃなくて単純にギターすげーなって思って見てたからな。何だこのオッサンはって衝撃受けた」
「あの人呼んだのって佐藤なんだよ」
泣く子も黙る学年主任の佐藤。
あたし達の時代の子は不良がバンドをやっていた。
だけど、「ロックは不良じゃない。芸術なんだ。どんな不良でどうしよもないヤツでも何かに熱中してればそれは立派な個性になる」
そう言って、他の先生の反対を押し切ってギタリストを招いた。
「何でお前がそんな事知ってんの?」
「佐藤に聞いたから。何で、ギターのオッサン来たの?って。そしたら答えてくれた」
そんな佐藤も数年前にガンで他界している。